4年前に付き合っていたKちゃんは弁護士を目指している女の子でした。
大学4年の時に何となく受けた司法試験で2次試験の択一に受かり、本格的に司法の道を目指し始めた、との事でした。
付き合い始めた当時、俺が28歳で彼女は26歳、5度目の試験を終えた後でした。
彼女は真面目で頑張り屋でしたが、ふとした時に
「私、もしOLやってたら、今一番良い時期なのにな」
と寂しそうな顔で呟いていたのを思い出します。
それでも、
「私、プチ引き篭もりだからw」
と自嘲気味に笑いながら、華奢な体で過酷な戦いに向け、必死に勉強していたKちゃんを僕は心から応援し励まし、そして尊敬もしていました。
試験が終わって10月の発表までの間の8~9月が、僕達が頻繁に会う時期でした。
いくら司法試験の受験生と言っても、普段勉強しかしていないので
「この時期に遊ばなかったら、私発狂するよw」
と、会えなかった時間を取り戻すように時間の合う限り会って、そして愛し合いました。
彼女は処女でした。
初めてそういう行為になった時、
「私、今時ほんと馬鹿かもしれないけど、結婚してからじゃないと・・・なんか駄目なの。今時ほんと古風過ぎて馬鹿かもしれないけど」
と言われました。
彼女の気持ちは、彼女の置かれている環境を考えれば理解できたので、挿入はしませんでしたが、いつも彼女の股間に顔を埋め、口と舌でしてあげてました。
不思議と挿入欲は湧いてこず、クンニをしているだけでとても愛おしく感じられ、僕も先端が濡れるくらいいつも感じていました。
発表が近づいたある日、僕らは横浜に旅行に行きました。
映画を見たり、ショッピングをしたり、夜景を見ながら自分達の将来に思いを馳せたり。
ホテルでの夜、いつもと違った高揚した気持ちが火を点け、僕はいつもよりさらにソフトに、ゆっくり、そして大胆に彼女を愛撫しました。
四つん這いにさせ、お尻を突き出させ、
「恥ずかしい」
と言う彼女に
「全部預けていいんだよ」
と囁き、かなり長い時間愛撫しました。
いつもなら
「あっ、あぁ」
という声を抑え気味に出す彼女が、気持ちいいっ、気持ちいいの、と言葉を発して感じていました。
そして、ふと
「○○さん、いいよ(挿入の事)」
と言ったのです。
僕はコンドームを持ってきてなかったので、少しだけ後悔しましたが、
「いいよ、今はこれでいい。いずれそういう時が来るから」
と言い、また愛撫を始めました。
それまでどちらかと言えば独り善がりなSEXをしてきていたので、こんな気持ちになる事に自分でも驚いたし、また、とても幸せな時間でした。
発表当日、彼女からの連絡を待っている間、仕事が全く手につかない。
すると、彼女からのメールが・・・。
「ダメだった。後でまた連絡するね」
とだけ書いてありました。
その後短い電話があって、今日は予備校の打ち上げがあるから、遅くなるので俺のとこに泊まらせて欲しい、との連絡がありました。(彼女の家は都心を21時位には出ないと帰れない為)
23時頃に連絡があり、僕は車を東京駅へと走らせました。
会って何と声を掛けるべきかを考えながら。
八重洲口に着き、掛けるべき言葉が思いつかぬまま車を降り、少し歩くと、彼女はちょうど正面の入り口のところに立っていました。
しかも満面の笑みで。
ゆっくりと近づき、目の前に立つと、彼女は
「ありがとう」
と一言だけ言って、持たれかかってきました。
そして、人目を憚らず泣きました。
僕は彼女の細い体を、ただ抱き締めていました。
これが僕の忘れられない思い出です。
この後、彼女の夢への想いを尊重し、話し合いの末別れました。
あれだけ頑張り屋さんの彼女の事です、きっと夢への階段を上がっている事と思います。
1年前、田舎の九州へ帰ってきた為、遠くなってしまったけど、心から君の活躍を祈っています。
Kちゃん、ありがとね。
そしてまた、いつかどこかで。