私達夫婦(40代)が、権藤さんに出会ったのは一昨年の秋のことでした。
町内会での廃品回収で一際熱心に働かれていたのが権藤さんだったのです。
年齢は40代、実直そうな男性で人柄も良く、それは廃品回収での働きぶりからも察することが出来ました。
廃品回収後、缶コーヒーを飲みながらの一服中に交わした会話で、権藤さんが実は近所に住んでいるといことをきっかけに私達夫婦と権藤さんの交流が始まります。
料理が得意だという権藤さん。
そう遅くない時期に互いの家を行き来し、ホームパーティを開くようになりました。
私達は、その交流を通じて権藤さんの多くを知りました。
早くに奥様を亡くされていること、1人息子は今東京の大学に進学していることなど。
もっとも実感されたのは、その人柄の優しさでした。
その優しさに私たち夫婦は癒され、ますます権藤さんとの距離が近くなり、妻と2人で日曜の夕食の買い物に行くことも珍しくなくなりました。
そんなある日、終業時刻に近い頃、権藤さんから電話が携帯にかかってきました。
話したいことがあるとのこと。
私達は駅前で落ち合い、駅の近くの喫茶店に入りました。
深刻そうな権藤さんの顔・・・。
唐突に切り出した言葉・・・。
「奥様を抱きたいんです」
私は、あまりに常軌を逸脱した会話になんと言葉を返していいのかわからず、じっと権藤さんの顔を見つめました。
常識的には、そんなことは胸の奥にしまって他人には、ましてや夫には言ってはならないことです。
苦しそうな権藤さん、おそらく悩みに悩み抜いた末、私に打ち明けたのでしょう。
そのまじめな性格から、そのような会話をしたのだということは十分察せられます。
彼の表情には後ろめいた企みのようなものを何も感じませんでした。
権藤さんは決心して語りだしました。
奥様を亡くされた精神的なショックで男性機能が働かなくなったこと、しかし妻と触れ合ううちに、妻のことを思うとエレクト出来るようになったこと・・・。
だから、苦しい胸のうちを、恥を忍んでこのように話をしているのだと・・・。
男性機能の回復。
それこそが彼にとっては生きる中での明るい希望であり、妻に出会うことでそれが夢ではなくなったこと、そんな思いがひしひしと伝わってきました。
とんでもない話なのに、彼の拙い言葉の数々は実直で、それを微塵も感じませんでした。
けれども最終的には私は言葉に窮してしまい、「妻がどう思うか・・・だと思います」と答えるだけで精一杯でした・・・。
その話を私は妻にすべきかどうか悩みました。
結局、悩んだ末、それを妻に告げるのに1ヶ月を要しました。
それを話したとき、妻はとても悩みました。
「手でしてあげるくらいで駄目かな・・・」
根が素直で優しい親切な妻のこと、結局、権藤さんを放っておけず、彼女なりに倫理観すれすれのところで出した結論なのでしょう。
それが手コキだったようです。
妻に打ち明けてから、そう経たないうちに決行の日が決まり、その日がやってきました。
当日、私たち3人は言葉を交わすこともなく、打ち合わせの通りリビングに2人を置いて、私は家を後にしました。
この不安の中にある浮いた気持ちは何なのだろう・・・。
権藤さんの願望が破綻すればいいような、成功すればいいような、複雑な気持ちです。
やがて居ても立ってもいられなくなった私は家に戻りました。
悟られないようにこっそりと物音を立てずに気配を気にしながら、家の奥へ奥へと私は一心不乱に歩を進めました。
そして、そっとリビングの襖の間から中を窺いました。
蛍光灯は落としてあり、部屋は薄暗いオレンジ色に染まっています。
けれども視野はさほど不自由せず、2人の表情まで識別できます。
むしろ独特な雰囲気を醸していて淫靡です。
権藤さんと妻は並んでソファーに腰かけていました。
妻は権藤さんの左隣にいて、2人の距離はつかず離れずといった感じです。
妻を気遣ってか、権藤さんの股間には膝掛けが被せてあります。
ただ膝までズボンとトランクスが下がっており、恐らくひざ掛けの下ではペニスが露わになっているはずです。
下を俯いていた妻が慣れない様子で膝掛けの中に手を入れます。
「あぁ・・・」
権藤さんが低い声を上げます。
妻の手が権藤さんのモノに触れたのでしょう。
あの下で妻の手が・・・指先が・・・他人の肉棒に触れているかと思うと心臓が破裂しそうな思いです。
やがて膝掛けがゴソゴソと左右に動き出しました。
2人とも無言なので、何が行なわれているのか私に知る術はないようです。
あの布切れの下で何が行なわれているのか・・・気になって仕方ありません。
私のそんな思いをよそに沈黙の中で膝掛けはしばらく動き続けました。
そんな中、権藤さんが唐突に口を開きました。
「す、すみません、奥さん。もう少しで・・・」
「もう少し」とは何なのか・・・。
まさか・・・もう射精をするのだろうか・・・。
「えぇ・・・、大きくなってきていますよ」
妻が恥ずかしそうに合の手を入れました。
私はそれで先程の言葉の意味を悟りました。
確かに膝掛けの真ん中辺りはテントを張っているかのようです。
「奥さん、ありがとうございます。私1人ではこんなに早くには大きくなりません」
その通り、妻を思ってするよりも、本人にされた方が効果は一目瞭然でしょう。
「本当にありがとうございます」
権藤さんは心底嬉しそうです。
奥さんを亡くされ、精神的に弱くなっていた男性機能の回復を、妻の手により確実なものとし、男性としての誇りを取り戻しつつある・・・。
そんな様子が彼の笑顔に現れていて、それは一種の清涼感さえ感じさせました。
「いえいえ、私は・・・」
妻はなんとリアクションしていいのか分からないようです。
もっとも夫以外の男性器を勃起させて、お礼を言われた経験なんて、普通の主婦にはあるはずがありません。
しかし妻の親切心が報われたのは間違いなく、妻も悪い気はしていないでしょう。
またひと仕事始めるかといった感じで、妻は再びごそごそやりはじめました。
さっきまでとは違う大きな動き・・・、ペニスをしごいているのでしょうか。
しかしその動きのせいでひざ掛けは少しずり落ち、肌蹴てしまいました。
明らかになるひざ掛けの下・・・。
妻の右手が権藤さんのアレを握り締めています。
権藤さんの穏和な性格とはかなりギャップのある大きめの逞しいペニスをです。
私はその状況にクラクラになりそうでした。
妻がひざ掛けをまた掛けますが、再び肌蹴てしまう始末・・・。
終いにはひざ掛けなしになりました。
妻はゆっくりと上下に動かしています。
実にぎこちない手つきです。
妻は手で男性自身を満足させた経験はありません。
それでも心を込めて、ただただ妻は扱きました。
その光景に眼も眩む思いでしたが、私はローションを用意しておくべきだったと気づきました。
おそらく潤滑油なしではあまり心地良いものではないはずです。
しかし、それでも萎えることなく持続し続けるのは、権藤さんの妻への思いなのでしょうか・・・。
結局、15分ほど経ちましたが、権藤さんの肉棒は射精することはありませんでした。
「奥さん、ありがとうございます。もういいです」
「でも男の人って、こんな状態は辛いんでしょう?」
親切心から、手コキで権藤さんを楽にしてあげたいと考える妻・・・。
「いやいや、もういいのです。私の我侭なのですから。もうこれ以上は・・・」
一瞬間が開き、権藤さんは思い直したように、あの衝撃的な言葉を妻に投げかけます。
「奥さんを抱かせてください」
「えっ・・・」
妻はやや後退りしました。
「やはり奥さんへの思いを断ち切れません」
真剣な眼差しの権藤さん・・・。
「でも私には・・・」
「わかっています。そうなのです、旦那さんがいらっしゃる・・・。それは重々・・・」
「ご、権藤さん・・・」
「もし、奥様がお気に召されないのであれば、いつでもやめます」
これも権藤さんの人柄でしょうか、男性が女性を口説くようないやらしさというものをその口調には感じられませんでした。
しかし、権藤さんのあくまで誠も実で真剣な姿勢は、まじめで面倒見の良い妻にとって、男女の仲とボランティアの境を曖昧にさせてしまうような気がします。
妻の胸の内にあるものは何なのか・・・?
気になって仕方がありません。
「本当ですね。・・・わかりました。ただ約束してください。きちんとゴムをつけること、そして夫には絶対に秘密にするということを・・・」
親切心と倫理の間で戸惑った結果、お人好し過ぎる決断を下し、妻は条件を提示します。
「ええ、必ず約束します」
「それから裸になるのは堪忍してください・・・。恥ずかしいですから・・・」
そういうや否や妻はスルスルとパンティを脱ぎました。
覚悟を決めたら気持ちの切り替えが早く、変に度胸のあるところにはいつも驚かされますが、まさか、こんな時にも彼女の性格が発揮されるとは・・・。
もっとも妻はセックスに対しては淡白であり、男性さえ絶頂を迎えることができれば、それで済むのだと思っているところも関係しているのかもしれません。
権藤さんの身体がソファーにもたれている妻に被さります。
そして首筋に軽くキスを・・・。
「奥さん、失礼します」
妻の太腿に権藤さんの手が触れます。
そしてそのままスカートの中を潜り、妻のアソコへと伸びていきました。
妻はこのボランティアが早く終わるようにと耐えることを決め込んでいるようで、眼を閉じたまま特には拒む仕草を見せません。
妻のスカートの中でがさがさと権藤さんの手が動いています・・・。
さっきとは逆の構図です。
権藤さんは遠慮からか愛撫を性器のみにとどめているようで、他の部位に触れることはしません。
もっとも濡れやすい妻のこと、結果的にはそれで十分なはずです。
案の定、権藤さんの指先も、時間が経たぬうちに湿り気を確認したようです。
ソファーに仰向けになっている妻の股の間に権藤さんが入り込み、妻の性器にペニスを宛てがいます。
「奥さん・・・挿れますよ」
妻はコクリと頷きました。
それを合図に権藤さんの太い亀頭が妻のアソコをニュッと押し広げ、ヌププ・・・と挿入されていきます。
「ああぁっ・・・」
いつもは声を出すことのない妻も、さすがに小さく声を漏らしました。
己の膣で他人の肉棒を扱くこととなる妻・・・。
胸が痛いのに、でも興奮してしまう私・・・。
「あぁ、奥さんの中に入ってますよ。奥さんが絡み付いてくる!」
感極まった口調です。
一旦根元まで肉棒を入れきったのでしょうか、権藤さんは妻の中を堪能するように動きを止めました。
「ああぁ、夢みたいだ」
失われていた感覚を取り戻して感無量の権藤さん。
ただ、妻を使ってというのが私を複雑な気持ちにさせます。
やがて権藤さんは腰を動かし始めます。
最初はゆっくりと、次第にピッチを上げて・・・。
突き上げるたび、妻の大きなお尻がたわわに揺れ、ソファーが軋んでいました。
妻は眼を閉じ、口を真っ直ぐに結んでいます。
その表情は何かに耐えているかのようです。
この行為が終了するのを待っているのでしょうか・・・。
しかしながら、そうやすやすと終わってくれるはずはありません。
妻の腰に手を当てて正常位で突き上げていた権藤さんは、己の肉塊を妻の奥へ奥へと打ち込むように妻の足を自分の肩に乗せ、一層強くピストンしはじめました。
くの字に折れた姿勢で妻がグァングァンと突き上げられています。
まるで犯されているかのように・・・。
「はぁ、はぁっ」
真っ直ぐに結んでいた妻の口が緩み、荒い息遣いが漏れはじめます・・・。
外からは何が起きているのか察することはできませんが、おそらく権藤さんの太くて長いペニスが妻の子宮を、今までに経験したことのない感覚で突き上げているに違いありません。
ズンズンとした腰のグラインドに合わせてしなる妻の肉体・・・。
妻の瞼は相変わらず閉じたままですが、時折、眉を寄せ、苦悶とも快楽とも取れる表情を見せ、私にはとても悩ましく思えました。
権藤さんは調子を得たのか、ピストンがリズミカルで力強いものになっていきます。
「はぁ、んはぁ、ぁっ」
妻は、さらに息を荒げ、権藤さんの背中に手を回し、しがみつきました。
密着する2人。
ギシギシと軋むソファー。
「お、奥さん・・・、いい、いいですよ」
権藤さんは一心不乱に妻の身体で快楽を貪っています。
「お、奥さん・・・、いいです!」
何度も同じ台詞を繰り返す権藤さん・・・。
そんな権藤さんに妻が挿入後、初めて口を開きます。
「はぁ、はあぁっ。権藤さんっ・・・いい?気持ちいいッんですか?」
「えぇ、さ、最高ですよ。旦那さんに申し訳ありませんが・・・」
妻の閉じていた眼がゆっくりと開き、権藤さんと視線が合います。
「奥さんはどうです?」
「はぁふっ、やだぁ。んはっ・・・」
さっと妻は視線を逸らしました。
追いかけるように権藤さんが唇を寄せます。
半ば強引なキスでしたが、妻はそれに応えるように自ら唇を重ねました。
(妻が自らそんな・・・)
私は思わず身を乗り出しました。
今までは受身だったのに・・・。
しかも権藤さんの舌を受け入れているようです。
ディープキスは嫌がっていたはずでしたが・・・。
逞しい雄の象徴を受け入れて妻は雌になってしまったのでしょうか・・・。
舌と肉棒の侵入を許し、口内と膣内をかき乱されている妻・・・。
覆い被さった権藤さんの胸の中で犯されている妻・・・。
普段の貞淑で優しい妻の姿はどこへやら、妻がとても淫らに見えます。
2人の長いキスは終わり、唇を離すとタラーッと睡液が糸を引きました。
権藤さんの腰の動きが速くなっていきます。
絶頂が近いのでしょう。
「奥さん!イク、イキそうです」
腰使いがさらに加速していきます。
「奥さん、奥さん、奥さん!」
権藤さんのカラダがピクっと跳ねた後、全身がわななきました。
そのまま動かない2人。
はぁはぁと息遣いだけが聞こえます。
しばらくすると権藤さんは腰を引き、ペニスを抜きました。
コンドームの先には大量の精液が・・・。
「たくさん出ましたね」
妻はコンドームを優しく外します。
そして結んで閉じるとティッシュに包みました。
「これは私の家で捨てましょう」
権藤さんが妻の手からティッシュを受け取ります。
「おっと、こんな時間。旦那さんが心配しているでしょう」
それを聞くなり私は反転し、玄関に向かいました。
玄関を静かに開けて家を出ると、私は駆け出していました。
訳もなく一心不乱に走りました。
頭の中は真っ白で何も考えられません。
興奮か混乱か、それさえ定かでないのです。
どれくらい走ったのでしょうか。
足を止めると、そこは家からかなり離れた高台の公園でした。
ゆっくりと夕日が沈んでいきます。
もうこんな時間になっていたことに気づきました。
オレンジ色に染まった空を見ると、少しだけ気持ちが落ち着いてきました。
しかしそれも束の間・・・オレンジ色の空が、あの部屋の照明を思い出させ、2人の行為をフラッシュバックさせます。
妻に覆いかぶさった権藤さん。
静かな息遣い。
交わる2人の肉体。
重なる唇。
自分の妻なのに、それはとても艶やかでいやらしくて・・・。
ブルルルル。
携帯のバイブレーションが私を現実に引き戻しました。
妻からです。
画面をしばらく眺め、意を決して携帯電話を耳に当てます。
「もしもし、あなた?」
なぜだか妻の声が懐かしく聞こえました。
遠くに行ってしまった誰かと再会して話すような懐かしさです。
「どこにいるの?終わったよ・・・」
「終わった?」
「うん、終わった」
「終わった」という言葉が私の中に重く沈みます。
本人は何が終わったと言うつもりでしょうか。
私が目撃したあの行為でしょうか。
まさか私が知っているとは思ってもいないはずです。
「大丈夫だった?」
「ええ・・・」
少しだけ声がトーンダウンするのがわかりました。
「本当に?」
「うん・・・、大丈夫だよ。それより早く帰って来てね」
「ああ、今から帰るよ」
少しの沈黙の後、携帯電話はプツリと切れました。
私は携帯を握り締めると、妻の言葉に後押しされるように高台から坂を下り始めました。