何年か前のこと、俺は派遣切りにあってしまった。
都内某所を転々とするネット難民生活をしていたが、不況の波が押し寄せて、派遣社員仲間の中で契約継続が危ぶまれるとの噂が広まってから、無職になるまでそれほど時間は掛からなかった。
不当解雇だとゴネて派遣先にしがみつこうとした奴らもいたけれど、結果的には早めの決断をして次の仕事を探したやつらは何と新しい職にありついた。
が、俺みたいに自分では何もせずに、ゴネている奴らのおこぼれに与れないか様子見をしていた奴らとゴネていた奴らはみんな仕事にあぶれてしまった。
直ぐに家賃を滞納するようになって、気がついたら住むところを失って、その日暮らしで狭いネカフェに転がり込んで、身体の節々に痛みを感じて目を覚ます毎日になっていた。
派遣先にはパートのおばちゃんや派遣で働いている女達が何人もいて、よくつまみ食いをさせてもらっていた。
金が貯まることはなかったが、それなりに楽しく過ごせていた。
おばちゃんと言ったって結構綺麗な人もいるのだが、俺が狙うのはいつも中の上。
帰りに一緒になったときに一緒に飯を食いに行って、何度か一緒に飲んだ後、悩みを打ち明けるふりをして甘えてみると結構慰めてもらえた。
俺が筆下ろしをしてもらったのもそんなおばちゃんの一人で、今から考えるとおばちゃんと呼ぶにはかなり失礼なのでお姉さんと呼んでおくが、当時二十歳になったばかりの俺にとって三十過ぎの女性は皆おばちゃんだった。
お姉さんは、幸子さんといった。
居酒屋の片隅で並んで飲んでいるうちに酔っ払ってきた幸子さんは俺の肩に触ってきたり太ももの上に手を置いてきたりして、今から思うとかなり露骨で積極的だったと思う。
「それで・・・、田中くんは彼女いるの?」
「そんな人いませんよ」
「ふぅん、それじゃ、溜まってるんでしょ」
俺が苦笑しながらも返答に窮していると、幸子さんは何を思ったのか俺の手をとって、短いスカートから伸びた自分の太ももで俺の手を挟み込んだ。
「温かいでしょ」
酔った目で俺にそう囁かれて、俺はもうそれだけでビンビンだった。
指をもぞもぞさせて太ももの付け根辺りを触ってみると、幸子さんは”ギャハハハ”と笑い出し、耳に息を吹き掛けるように、
「エッチ!」
と言った。どっちがエッチなんだかわからなかったが、余計なことは言わずにいた。
正直に言うと、当時の俺は冗談で返す余裕もなかった。
少し前にトイレに行って化粧直しをしてきた赤い唇が微かに俺の耳に触れたような気がした。
「出ましょ」
そう言われて俺たちは居酒屋を後にした。
会計は幸子さんが済ませてくれて、店を出ると幸子さんは俺の腕にしがみつくようにしてきて歩いた。
足取りが安定しないので、幸子さんの胸の膨らみが肘に当たってくる。
それを意識し過ぎた俺は何も無い道なのに何度もつまずきそうになった。
「田中くん、酔っ払ってるの?」
今なら”それは幸子さんの方でしょう”と突っ込みで返せるのだろうが、当時の俺は足が縺れたことが恥ずかしくて、苦笑するばかりであった。
小奇麗なファッションホテルに入って部屋に入ると、幸子さんは俺に抱きついてきた。
初心者にはハードすぎるディープキスを最初からお見舞いされて、俺は頭がクラクラした。
一枚一枚着ているものを脱がされて、広いベッドに押し倒されると幸子さんはいきなり俺の股間に顔を埋めた。
俺のペニスから口を離した幸子さんは、
「ねぇ田中くん、経験あるの?」
と聞いてきて、強がって見せようか迷ったが、そんなのは直ぐに露呈すると諦めて俺は力なく首を横に振った。
すると、幸子さんは、
「ふぅん、そうなんだ。じゃあ、私が全部教えてあげる」
そう言って身体を起こすと、自分の背中に腕を回して着ているワンピースのファスナーを下ろすと洋服がストンと幸子さんの足元に落ちた。
ワンピースの輪を跨ぐようにして幸子さんはベッドに戻ると、再び背中に腕を回してブラジャーを外すと脇に置いて、下着を脱いだかと思うと小さく丸めて枕の下に押し込んだ。
それを見ているだけで俺は鼻血が出そうだった。
まさか、会社で一緒に作業をしているお姉さんと裸になって抱き合うなんて、出会った頃は思ってもいなかった。
厳密に言うと、そういったことを夢想しながら自分のものを扱いていたことはあっても、それが現実になるとは夢にも思っていなかった。
「田中くんが先に見たい?」
幸子さんはそう言うと、手のひらを俺の頬に当ててきた。
俺が頷くと、幸子さんはベッドに仰向けになると”おいで”と言うように手招きをした。
俺は無我夢中で幸子さんに覆いかぶさると、あまり大きくはないがきれいなおっぱいにむしゃぶりついていった。
硬くピンと尖った乳首を吸い、滑々のおっぱいを揉みながら、いつまでも赤ん坊のように幸子さんの胸に吸い付いていた。
緊張しすぎていたのか、俺の身体は少し震えていて、幸子さんは俺の頭の後ろに手をやると、
「可愛い・・・」
そんな風に呟いていた。
「あん、田中くん、上手よ」
幸子さんはそう言ってくれて、気がつくと俺のビンビンになったペニスはいつの間にか幸子さんの手のひらに包まれていた。
細くて長い指が俺の竿に絡み付いて、軽く締め付けたり緩めたりしていた。
つい切なげな目を幸子さんに向けると、幸子さんはクスリと笑って、
「まずは出さないと治まらないわよね」
と言うと、どこからかコンドームを取り出して俺に被せてくれた。
「避妊は、男のエチケットだからね」
そう教えられて俺が頷くと、幸子さんは再びベッドに仰向けになって俺の身体を引き寄せた。
膝を立てて仰向けになっている幸子さんは俺のペニスにそっと手を添えて自分の股間に引き寄せると、
「そのままこっちへ来て」
と言って、引き寄せられるままに腰を進めていくと、俺のペニスは根元までズッポリ幸子さんの中に入っていった。
そこには想像していたのとは全く違った甘美な世界があった。
絡みつくような温かい襞に包まれて、俺のペニスは痛いほどに屹立した。
「ゆっくり、ゆっくりね」
と言われたのに、俺は激しく腰を振ってあっという間に幸子さんの中で果ててしまった。
あまりの早さに赤面したが、幸子さんは俺の頭を自分の胸に押し当てるようにして、
「卒業おめでとう。よかったよ」
と優しい声をかけてくれた。
枕元のティッシュを取ると、幸子さんはコンドームから精液が零れないように外してくれて、ティッシュで包み、屑篭に入れると俺の股間に唇を寄せた。
「綺麗にして上げるからね」
そう言って萎えた俺のペニスを口に含むと、口の中で舌を這わせるようにして、精子に塗れた粘り気を取ってくれた。
「次は田中くんが私を気持ちよくしてね」
そう言って再び膝を立ててベッドに寝転がると幸子さんは俺の顔を自分の股間へと誘導した。
エロ本でしか見たことのなかった女性の性器がパックリと目の前で開き、俺のペニスは速攻で復活していた。
けれども幸子さんは今度は直ぐに挿れさせてはくれなくて、
「これがクリトリスだからね」
そう言って合わさった貝を二本の指で広げ、もう片方の手で俺に触れさせた後、
「じゃあ、舐めてみて」
と言われた。
何となく、”バター犬”という言葉が脳裏を過ぎったのを覚えているが、何故だかは思い出せない。
ぎこちなく舌を動かしていると、幸子さんは自分の股間に手を伸ばして、クリトリスの上の方を指で引っ張りあげるような仕草をした。
途端にピンクの小さな突起が顔を出した。
愛液に濡れて光った突起が可愛らしくて、俺は本能的にそれに吸い付いた。
「あん、そんなに強くしたらダメ・・・」
そう言いながらも幸子さんは、腰を小刻みに震わせた。
どうしたらいいのかわからずにひたすら舐め続けると、やがて幸子さんは声を上げ始めた。
「そう、そこ・・・、ああ、もっと強くてもいいわ。ああ、それいい・・・」
俺は幸子さんに言われるがままに舌を動かし続けた。
「あ、そのまま続けて・・・、あ、あ、あ、そう、上手よ・・・、」
幸子さんが俺の頭を一層強く引き寄せ、自分の股間を俺に押し付けたかと思うと、幸子さんは腰をガクガクと震わせて、急に動きが止まった。
「あ、はぁ・・・」
大きく息を吐き出して、幸子さんが言った。
「イッたよ。ありがとう・・・。とっても上手だったよ」
幸子さんはそう言うと再びコンドームを装着させてくれて、二度目の挿入を許してくれた。
二度目は俺も少しは冷静になれて、幸子さんの蜜壺の温かさを楽しみながらゆっくりと奥まで突いた。
「あん、おっきい・・・」
幸子さんの熱い吐息が俺の耳をくすぐり、俺はドクドクと大量の精子を吐き出した。
幸子さんは褒めて伸ばすタイプで、俺も幸子さんの期待に応えようと頑張った。
そうすると幸子さんに言われなくても期待通りのオルガをもたらすことができるようになって、幸子さんはその後も俺を定期的に誘ってくれた。
幸子さんの家にも呼んでくれて、女の身体をとことん教えてくれた。
「女はねぇ、こうされるとたまらないの」
そんな風に言いながら、ありとあらゆる体位でのセックスを堪能させてもらい、何度もイカされ、イカせる英才教育を受けたようなものだった。
そんな俺は、幸子さんと付き合っているものだとばかり思っていた。
ところが幸子さんはそうは思っていなかったようで、派遣先のそこそこ出世コースの男と仲良くなると、あっさりと俺を捨てた。
その頃には俺も幸子さんとのセックスに少し飽きてきたので、ショックは受けたが何も揉めることなく俺たちは別れた。
その後も、パートの人妻と仲良くなって、たまにセックスさせてもらったりしていて、派遣切りに遭うまではそれなりに楽しい日々が続いていた。
旦那とのセックスで気持ちよくなったことがほとんどないといっていた人妻に幸子さん直伝の前戯を施して、後ろから突きまくったら、”ぐぇっ”という感じの声を発すると、身体を思いっきり仰け反らしてオルガに達し、失神した。
顔を覗き込んでみると、目が白目を剥いていて何だか怖かった。
ライトな感覚でアクメを提供する俺のセックスは人妻に結構人気があって、一度きりで終わったおばちゃんはほとんどいなかった。
最初は恥じらいを見せながら股を開いていた人妻が、一度アヘ顔を晒してしまうと次からは乱れに乱れて絶叫しまくる女もいた。
でも、みんないい人たちで、終わった後は子猫のように身体をすり寄せて甘えてくるのだった。
派遣切りの嵐は凄まじく、アパートを追い出された俺の元からそんな子猫たちはあっという間に離れていった。
俺も彼女たちに迷惑をかけたくなかったのであっさりと身を引くと、申し訳なさそうに封筒に小金を入れて渡してくれた人妻もいた。
ネカフェを渡り歩いているうちに、ある店で爆乳の受付の女の子と顔見知りになった。
黒縁のメガネをかけていたが、顔立ちは綺麗そうで、ネームプレートを見ると幸子さんと同じく、サチコという名前らしいとわかった。
飛び切りの美人とまでは行かないが、スレンダーなボディのくせして胸が大きくて、そそる感じの女の子だった。
ある日、たまたま部屋に入ろうとした時、サチコが隣の部屋を清掃しているのが見えた。
派遣切りに遭ってから自分で慰めるほかなく、溜まっていた俺は黙って隣の部屋に入ると、サチコを背後から抱きしめてみた。
今から考えると大胆な行動だと思うが、あのころの俺に失うものはなく、本能のままに動いてしまった。
最初は驚いて抵抗していたが、顔馴染みの俺だとわかると何かを言いかけた。
間髪を入れずに唇を唇で塞いで幸子さん直伝の愛撫を始めると、サチコは途端に大人しくなった。
スカートの裾から手を入れると再び嫌がってもがいたが、声は出さなかった。
それで、そのまま下着の上から愛撫を続けて軽くイカせると、サチコは目を閉じたまま俺に体重を預けてきて肩で息をしていた。
俺はその時になってようやく下半身をさらけ出すと、サチコにフェラをさせた。
ノロノロと鈍い動きを見せながらもサチコは素直に俺を咥え込み、俺はサチコの口を汚した。
俺はサチコを残して自分の部屋に入り直すとしばらく眠ったが、ノックの音で目を覚ました。
「お客さま、ちょっとよろしいでしょうか?」
女性の声がして、ドアを細めに開くとそこにはサチコがいた。
何かの確認をするふりをしながら、サチコは俺にメモを渡してきた。
『22時で仕事が終わります。お店の前で待っていますので、よろしければ出てきてください』
なけなしの金をはたいて、泊まる予定で前金を払っていたので惜しかったが、俺のしたことに怒っている様子でもなかったので、約束の時間にネカフェを出て行った。
近くのファミレスに入ってその時の懐事情を話すと、情けなかったが食事を奢ってくれた。
話を聞いてみるとサチコは春に上京してきたばかりで、看護学校に通っている学生だった。
「泊まるところ、ないんですよね?」
サチコは、そう言うと、
「うちへ来ていただいてもいいんですが、変なことしませんか?」
「変なことはもうしちゃったよ」
そう言うとサチコは思わず吹き出して笑うと伝票を持って席を立った。
サチコは古い安普請のアパートに住んでいた。
それでも、アパートを出された俺よりはマシだった。
「お布団は、一組しかないんです・・・」
そう言われて、一緒の布団に包まると俺たちはすぐに抱き合った。
長い口付けの後、唇を離すとサチコは恥ずかしそうに、
「知らない人にイカされたのって、初めてでした・・・」
俺の腕の中に包まれながらそう言った。
北国生まれの北国育ちのサチコは真っ白な肌をしていて、服の上から見る以上に巨乳だった。
乳輪が大きくて柔らかいままの乳首を口に含むとサチコは顎を上げて悶え始めた。
「気持ちいい・・・」
サチコのアパートには風呂がなく、シックスナインの形になるとサチコは
「汚いから」
と言って嫌がったが、俺はネカフェでシャワーを浴びてきていたので、ガッチリとサチコの脚を両腕で動けなくするとサチコの股間に顔を埋めた。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ゛ーっ!」
呆気なくサチコは昇天し、俺が愛撫を続けるとサチコは案の定、俺のペニスに手を伸ばしてきて俺を咥え込んだ。
けれども成人式を迎える前の経験の浅いサチコに俺の愛撫から逃れる術はなく、前戯だけで何度も果てた。
イキ過ぎてドロドロになったサチコの股間に肉棒を押し込んだ時、サチコはそれだけで絶頂に達した。
「た、田中さん・・・、わたし、おかしい・・・、自分で自分を止められない・・・」
若い十代のサチコは疲れることを知らず、何度も何度も絶頂を迎えた。
「ヒィーッ!もう、だめぇぇ・・・」
サチコは面白いように身体を痙攣させては、絶頂に昇りつめた。
しかし、爆イキの後で、しかもバックから俺を受け入れたサチコは、
「あー、許して・・・、もう許して・・・、またイッちゃう、イッちゃう、イッちゃう!あーっ!!!」
と泣き叫んだ。
それでも激しくサチコの中を肉棒で掻き回し続けると、サチコは俺の射精を待つことなくその日一番のオルガを迎えて、愛液でベッドのシーツを濡らすと白目を剥いて失神した。
あの時の人妻が三十代になってやっと味わった快感を十代のサチコは早くも体験してしまったようだった。
直ぐに目を覚ましたサチコは少し寄り目がちになりながら、焦点の定まらない目で俺を見つめ、唇を近づけると自分から舌を伸ばしてくると俺の首に抱きついた。
舌の付け根が痛くなるほど強くサチコの舌を吸い込みながら、Gスポットを探し当てて高速で掻き続けると、俺の首にしがみつきながら今度は自分でガクガクと腰を震わせながら二度目の潮を吹いた。
「田中さぁん、もう無理だよぉ・・・」
そう言うサチコを無視して、それからも攻め立てた。
サチコが疲れて
「もう休ませて・・・」
と音を上げるまで、俺はサチコをイカせ続けた。
結局その晩、イキ過ぎて動けなくなったサチコの脚を抱えながら、俺は漸くサチコの中で放出した。
膣内で俺の白濁液を受け止めた瞬間、サチコは恍惚の表情を見せた。
俺はエチケットを守り、きちんとコンドームを装着していた。
漸く満足してサチコの隣に身を横たえると、サチコは甘えて俺に抱きついてきた。
優しく甘い甘いキスをして髪を撫でてやると、サチコはそこで糸が切れたように眠りに落ちた。
二十歳前の爆乳女のあどけない寝顔を見たとき、俺は完全にサチコにやられてしまった。
“か、かわいい・・・”
俺はサチコの背中に腕を回して、思いっきり強く抱きしめると、俺も睡魔に襲われてそのまま眠った。
目を覚ますとサチコは台所でクルクルと忙しく動いていた。
「こんなものしかないんですけど、召し上がってください」
そう言って用意された朝食は、きちんとご飯を炊いてあって、美味い味噌汁も添えてあった。
食事を取りながら、幸子は言った。
「田中さん、私は学校に行かなければならないんですけど、お留守番をお願いできますか」
顔見知りだとは言え、素性もわからない、前日に男女の仲になったばかりの俺に留守を任せようという神経はよく解からなかったが、いく所のない俺は了解した。
それから俺はずっとサチコのところで世話になっている。
住所不定だと派遣の仕事にもありつけないが、サチコのアパートの住所を借りて仕事も見つかった。
サチコは看護学校を卒業して、正看護師としての仕事に就いている。
どんなに疲れて帰ってきても、俺に嵌められて、イカされて眠ると翌朝はスッキリ目が覚めるのだという。
しかも、幸子さんとは違って、サチコはどうやら俺と付き合っている認識でいるらしい。
二人のさちこのお陰で、俺は今何とか生きている。