数年前の夏、当時、俺は会社で借上げてもらった1K・ロフトつきのアパートの1階に住んでいた。
そのアパートには俺以外に社員はいなくて、他の部屋は普通に借りて入居している人ばかり。
そこに住み始めてからしばらくは、朝早く出勤して帰りも遅い上に休日が不規則だったので、隣の住人がどんな人かも知らなかった。
ただ時々隣から微かに聞こえる声から、若い女だということはなんとなく想像していた。
時折男の声も聞こえたので、(彼氏持ちなんだろうな)ということもわかっていた。
ある土曜の夜、翌日も出勤する予定だった俺は少し早めにロフトに上がって寝る体勢に入った。
土曜の夜なので他の部屋の住人は夜更かしをしているようで、2階の部屋の足音や隣のテレビの音が聞こえていた。
その程度の物音はまったく気にならないので、疲れていたせいもあって俺はすぐに眠りに落ちかけた。
突然、2階から男の叫ぶ声が聞こえた。
どうやら酒を飲んで喧嘩をしているらしい。
うるさいと思いつつも、文句を言いに行ったりする気にはなれなかったが、さすがに目が覚めてしまったので、ロフトから下りてタバコに火をつけた。
喉が渇いたので冷蔵庫からジュースを取り出し、ボトルのキャップを開けた。
その時、玄関のチャイムが鳴った。
時計の針はすでに1時を回っている。
(なんなんだよ、こんな時間に・・・)
少し腹立たしさを覚えながらも、あまり深く考えずにインターホンの受話器をとる。
「はい?」
意図せず不機嫌な声で答えると、泣きそうなか細い女の声が言った。
「あの・・・ごめんなさい、こんな時間に。隣のものなんですけど」
「はあ・・・」
我ながら間抜けな返事だが、思わずそう答える。
「今2階から声が聞こえて、あの、私の部屋の上だと思うんですけど、なんだか怖くて・・・。どうしたらいいでしょう?」
「どうしたら」と言われても困るのだが、寝ぼけた頭の隅で・・・。
(これってもしかして美味しいシチュエーションなのか?)
などとバカなことも考えていた。
「ちょっと待って下さい。今開けますから」
とりあえずそう答えてから玄関に行き、ドアのレンズから外を覗いてみる。
女が1人。
廊下が暗い上にレンズで歪んで見えるので容姿はよくわからない。
玄関の明かりを点けてから、ドアをそーっと開けた。
Tシャツに短パンという、ある意味無防備な格好の女がいた。
真っ黒なセミロングの髪を後ろで縛り、両手で自分の肩を抱くようにして泣きそうな顔をしている。
年は俺より若いようだ。
23、4歳くらい。
俺も背は高くないが、彼女は155センチないくらい。
細面で全体にシャープな印象を受ける顔立ちだった。
「どうしました?」
「あの、さっき上ですごい音がして、それで怖くて、あの・・・」
彼女は動揺しているのか、しどろもどろに答えた。
2階の物音はすでに止んでいて辺りは静かだった。
「まあ、とりあえず入って下さい」
拒否されるだろうと思いつつ、ドアを大きく開けると意外にも女は素直に入ってきた。
自分で言っておきながら意外な展開にちょっと戸惑いながら声を掛けてみた。
「大丈夫?もう静かになったみたいだけど」
「そうですね。ごめんなさい、こんな時間に」
「いや、それはいいんだけどね。ちょっと待ってて、様子見てくるから」
俺は部屋の鍵を握り締めて言った。
「用心のために鍵を掛けて行くから中で待ってて。コーヒーとか適当に飲んでていいよ」
こういう場合、自分の部屋で待ってろというのが普通なんだろうが、遠恋の彼女と別れたばかりだったし、会社にはおばちゃんしかいないので、久々に若い女と会話できるのが嬉しくもあり、微妙に下心もあって部屋に入れることにした。
彼女は動転しているのか本気で怖がっていたのか、あるいは別の理由があるのか、素直に俺の部屋に上がっていった。
「大丈夫ですか?危なくない?」
1人になるのが怖いようだった。
「すぐ帰ってくるから大丈夫。あんまり遅かったら、そこの電話で警察を呼んで」
そう言い残して俺は2階への階段を上がった。
ちょうど彼女の部屋の真上に当たる部屋の前で、俺は少しの間、耳を澄ませてみた。
部屋の中から笑い声が聞こえた。
どうやら酔った男が数人で盛り上がっているらしい。
俺はインターホンを押し、答えを待たずに、「すいませーん」と声をかけた。
インターホンから機嫌のよさそうな声で「誰?」と返ってきた。
「下の者ですけど、もう少し静かにしてくれませんか」
「ああ、すんません。ごめんなさい」
あまりすまないとは思っていないような口調で、部屋の住人は答えた。
これ以上は言っても無駄だと思ったので、俺はそのまま下におりて部屋に戻った。
(もう自分の部屋に帰っちゃったかな)
そう思いながらドアノブを回す。
鍵が掛かっている。
ということは、彼女はまだ俺の部屋にいるのだ。
(これからどうしよう?どうすればいい?)
玄関を開けると部屋の中に彼女はいた。
冬にはコタツとして使うテーブルから少し離れて居心地悪そうに座っていた。
キッチンの流し台ではコーヒーメーカーがコポコポと音を立てていた。
「あ、コーヒー勝手に淹れちゃいました」
部屋に入ると彼女はそう言った。
「ああ、いいよ。うん。飲んで行きなよ。せっかくだから」
今度は俺のほうが動揺しているらしい。
俺は棚からカップを2つ出してコーヒーを淹れた。
テーブルのコーナーを挟んで座り、コーヒーを飲み始めた。
「あの・・・」
彼女が口を開く。
微かにシャンプーのような、いい匂いがした。
「どうでした?大丈夫だった?」
「うん、なんか酔っ払って盛り上がってただけみたいだよ」
彼女は少し困ったような顔をして言った。
「ごめんなさい。大袈裟にしちゃって」
「いや、いいよ。女の子1人じゃ不安でしょ。しょうがないよ」
「ごめんなさい」
よく見ると、色白で肌のキレイな娘だった。
「このアパートは長いの?」などと当たり障りのないことを聞きながら、頭の中はピンク色の妄想でいっぱいだったのは言うまでもない。
この先の会話は長い上につまらないので割愛する。
彼氏がいること、その彼ともうすぐ結婚すること、最近いわゆるマリッジブルーになりかかっていること、などを聞き出した。
会話をしながらも俺は彼女のTシャツの胸元が気になって仕方がなかった。
おそらくパジャマ代わりなのだろう、ノーブラなのだ。
話をしながら、どうしても胸元に目が行ってしまう。
それほど大きくはないが、別れた彼女とは違い、形の良さそうなバストだった。
話をするにつれて緊張も緩んできたようで、彼女はよく笑った。
明るい笑顔で、その笑顔が眩しかったように思う。
会話の中で、俺が彼女と別れたばかりであること、新しい彼女を作る暇もないほど疲れてることなどを話した。
書きにくいので、名前をつけよう。
ここからは、俺は『コウタ』、彼女は『ユキ』(どちらも仮名)ということでヨロシク。
「なんだー、今寂しいんだね。コウタさん優しいのに彼女いないなんて勿体ないなぁ」
人懐っこい性格らしく、彼女はすっかり友達のような口調になっていた。
「誰かいない?ユキちゃんの友達とか妹とかお姉さんとかさ」
俺も根が図々しいので、あっという間に友達口調である。
「ふふーん、いないこともないけど」
「けど?」
「なんで私のことはスルーしちゃうかなぁ」
(げげっ。誘われているのか?)
図々しいくせに小心者の俺は動揺しまくった。
「なに言ってんの。もうすぐ人妻になろうって人が」
精一杯の虚勢を張って冗談でかわそうとした。
「でも、さっきから私の胸ばっかり見てるし・・・」
「ごめん、つい見ちゃうんだよなー」
素直に認めてしまう俺は、はっきり言ってバカである。
(認めてどうする!!)
俺は答えてしまってから激しく自分を罵った。
「ふふふ、男だもん普通だよ。気にしないで、怒ってないから」
すっかり彼女のペースにはまっている気がした。
「それにこんな格好じゃあ気になるよね」
彼女は自分で自分の胸をサラッと撫でて見せた。
話を始めてかれこれ2時間。
俺は自分の欲望と妄想の行き場に困っていた。
彼女の手の動きを見て、俺は自分が本来すべきでないことをしようとしていることを自覚した。
胸を押さえている彼女の左手をそっと握った。
一瞬ではあるが彼女の柔らかい胸に触ってしまった。
それに気づかないふりをして手を引き寄せた。
彼女は一瞬抵抗するように手に力を入れたが、俺が両手で彼女の手を包むように軽く握るとふっと力を抜いた。
握った手はテーブルの上、彼女と俺の間ちょうど中間地点に落ち着いた。
「さっき、マリッジブルーだって言ってたよね」
「うん」
「他の男と遊んでみたいと思う?」
「遊びたいっていうか・・・なんだろうね」
「デートしたりとか話をしたりとか?」
「そう・・・かな」
「その『他の男』の中には俺も含まれる?」
彼女の手の滑らかな感触が気持ちよかった。
俺は見たこともない彼女の婚約者に激しく嫉妬しているような気がした。
「例えばね、他の男と付き合ってみて、彼が一番いいと再確認するような感じ?」
俺はだんだん彼女を尋問しているかのような錯覚に陥った。
「そうなのかもしれない。でもそれってひどいことだよね」
「ユキちゃんがそうしたいなら、俺は構わないけど」
彼女は迷っていたのだと思う。
自分がしてはいけないことをしようとしているという恐怖感もあったのだと思う。
たぶん俺が「やめよう」と言えば何事もなく彼女は自分の部屋に帰るだろう。
でも俺は自分の欲求を抑えることができないでいた。
そして俺もまた迷っていた。
頭の隅ではやってはいけないことだと認識していたし、今ならまだ間に合うとも思っていた。
同時に、ここで今、何もしなければ後で後悔するような気もしていた。
俺は彼女の手を離し、立ち上がった。
俺の突然の行動に彼女は驚いたように身体をこわばらせた。
俺は空になった自分のカップを持って流しに向かった。
あまりの緊張に喉がカラカラだった。
カップをさっと水ですすいでカップに半分ほどの水を飲み干すと、テーブルに戻った。
彼女が緊張した面持ちで俺を見上げた。
まだ会って数時間しか経っていない彼女がたまらなく愛おしい存在に思えた。
俺はさっきまで座っていた場所には戻らず、彼女の真後ろに膝をついた。
もう俺は止まれない。
さっきまで頭の隅にいた理性は欲望の陰に隠れてしまった。
彼女は顔を逸らし、身体に力を入れた。
拒否の姿勢のように思えた。
俺は構わず彼女の背に自分の胸を近づけ、後ろから抱きついた。
乱暴にではなく、彼女が逃げようとすれば簡単に抜けられるように、彼女が自分の意思で動けるように。
でも彼女は動かない。
「嫌ならやめる。今、『嫌だ』って言ったら何もしない」
俺は最後の確認をするように彼女の耳元で囁いた。
彼女は答えない。
俺は焦っていたのかもしれない。
俺は彼女の胸にそっと手を置いた。
彼女はその俺の手を上から手で押さえた。
「誰にも言わないでくれる?約束してくれるなら何してもいいよ」
彼女は振り向いて俺の眼をまっすぐ見つめた。
彼女の瞳に映る俺の顔が見えた。
俺は彼女の横に身体をずらし、顔を近づけた。
彼女が目を閉じる。
そっと唇にキスをした。
柔らかい唇だった。
すぐに顔を離すと彼女がはにかんだように笑った。
たまらなく可愛いと思えた。
思わず抱き締めて、もう一度キス。
今度は長く明らかに性的な意味のこもったキスだった。
そっと舌を入れると、彼女は軽く口を開き受け入れた。
彼女の口の中は少しひんやりしているような気がした。
彼女の両腕が巻きつくように俺の首を抱き締めた。
俺は彼女の頭と背中を支えながらそっと床に横たわらせるとTシャツの上から彼女の胸に触れた。
柔らかく、包み込まれるような感触だった。
胸に触れたまま親指だけで乳首の辺りを軽く擦ってみる。
彼女が声にならない微かな吐息を漏らした。
「脱がしていい?」
聞いてしまってから、間抜けなことを聞いたと思った。
彼女もクスッと笑って・・・。
「いいよ。そんなこと聞かなくてもいいのに」
Tシャツの裾を捲り上げ、徐々に上にずらした。
滑るような肌。
蛍光灯の下で彼女の肌の白さが眩しかった。
Tシャツに続いて短パンも脱がせてしまうと、彼女は急に恥ずかしそうに言った。
「コウタさんも脱いで。1人で裸にされちゃったら恥ずかしい」
俺は慌ててTシャツと短パンを脱ぎ捨てた。
もうすぐ人の妻になる女と、お互い下着一枚で抱き合っている。
その後ろめたさを忘れるために俺は行為に集中しようとした。
左腕を彼女の頭の下に差し入れ、自由な右手で頭から頬、頬から顎へ、そーっと這わせた。
彼女は眼を軽く閉じてされるがままになっている。
顔から首へ、そして胸、腹へ、手はだんだんと下へ向かった。
彼女の下着に辿り着き、下着の縁に沿って指を動かすと彼女はくすぐったそうに笑った。
「優しいのね。彼女にもこんな風にしてた?」
俺は返事に詰まった。
確かに別れた彼女にも同じようにしていたと思う。
答えない俺の顔を見て彼女は、「ごめん。変なこと聞いちゃったね」と言った。
彼女は俺の顔を両手で挟むように優しく撫で、次いで下から引っ張るように抱きついた。
俺は黙って下着の中に手を挿し込んだ。
柔らかい子供の髪の毛のような陰毛が指先に触れた。
「濡れやすい?」
俺が聞くと彼女は顔を真っ赤にして・・・。
「わかんないよ。そんなこと聞かないで」
「それは自分で確かめろってことだな」
俺はわざと猥雑な言い方をして彼女の下着に手をかけた。
下着を脱がせてしまうと、彼女は右手を脚の間に当てて陰毛を隠した。
「恥ずかしいよ。こんなに明るいと」
俺は起き上がり、彼女の右手を掴んで、「このままでいいよ。見せて」と恥ずかしがる彼女の脚の間に顔を近づけた。
「やだやだ。やめて、それはやめて」
「どうして?」
「汗かいてるから恥ずかしい」
「汗なんか誰だってかくよ。いいよ、そんなの」
俺は構わず脚を開かせて、彼女の股間に舌を這わせた。
舌の先で小陰唇を広げると、そこはすでに湿り気を帯びて光っていた。
自分で濡れているのがわかっていて恥ずかしかったのだろう。
「そんなに見られたら恥ずかしいってば」
彼女は両手で真っ赤になった顔を覆ってつぶやいた。
「わかった。じゃあ俺も脱ぐ。好きなようにしていいから」
俺はどうしてこうも言うことが間抜けなのか。
わかっていながらどうしても言ってしまう。
彼女は恥ずかしさのあまり、俺の言葉に突っ込みを入れる余裕もないようだった。
急いでパンツを脱ぎ、彼女の手を俺の硬くなった陰茎に導いた。
彼女は恐る恐る俺の陰茎を握った。
握ったまま動かないので・・・。
「どうした、触ったことない?」
「うん・・・」
「彼のも?」
「あるけど・・・。どうしたらいい?」
「舐めてもらったりすると気持ちいいんだけど、彼はしてって言わない?」
「言わない。気持ちいいのは知ってるけど・・・したことない」
「ねえ、ユキちゃんさ、彼以外の男とセックスしたことある?」
「彼が初めてだったから」
たぶん彼ともそんなに頻繁にはセックスしていないのだと思った。
俺は迷った。
もうすぐ結婚する彼女に、やったことのないフェラなんか教えていいのだろうか?
「わかった。じゃあそれはいいよ」
迷った末に俺はフェラをしてもらうのを諦め、彼女が気持ちよくなれることに集中しようとした。
俺は彼女の脚の間に身体を割り込ませて舌で愛撫を始めた。
「力を抜いて。何も考えなくていいから」
俺はゆっくりと膣の入り口、そしてクリトリスを舐め続けた。
時々彼女は声にならない呻きをあげ、脚に力が入った。
ひんやりとした太ももが俺の頭を締め付ける。
彼女の股間に顔を埋めながらまだ俺は迷っていた。
ここまでしてしまえば最後までいっても大して変わらない気もしたが、挿入するのとしないとでは大きな違いのように思えた。
とはいうものの俺自身は最後まで行ってしまいたい。
その気持ちに変わりはない。
顔を上げて彼女の顔を盗み見た。
頬が赤く染まり、切なそうな顔だった。
その顔を見て俺は我慢できなくなり、彼女に体重を乗せないように覆いかぶさると、「入れるよ?」と聞いた。
彼女は俺の顔をまっすぐ見て、「うん、来て」と言った。
自分で陰茎を支えて膣の入り口に当てる。
彼女は緊張している様子で俺の肩に手をかけた。
ゆっくりと挿入していく。
彼女の膣は小さめなのか、特に大きくもない俺の陰茎がきつく締め付けられるような感触だった。
彼女のひんやりとした肌とは裏腹に膣の中は熱くなっていた。
「痛くない?」
苦しそうに眉をひそめた彼女に聞くと・・・。
「うん、大丈夫。続けて」
彼女はしっかりと抱きついてきた。
俺はゆっくり動いた。
俺の胸の下で彼女の胸が潰れそうになっていた。
あまり長引かせてはいけないような気がしたし、何より久しぶりのセックスだったから、俺はあっという間にイキそうになった。
さすがに中には出せないと思ったが、いつまでも繋がっていたい気もして、ギリギリまで彼女の中にいてからイク寸前に慌てて引き抜いた。
自分でも驚くほど大量の精液が彼女の腹と胸に飛び散った。
彼女の身体についた精液をティッシュで拭うと、俺はタオルを2枚出してきて、流しで水に濡らした。
彼女のそばに戻ると彼女は涙を浮かべていた。
途端に後悔の念で胸がいっぱいになった。
「後悔してる?」
彼女は首を振った。
「してないよ。そんなんじゃなくて・・・。なんだろうね、急に涙が出てきた」
俺は仰向けになったままの彼女の身体をタオルで拭き、もう一枚のタオルで涙に濡れた頬を拭いた。
彼女は起き上がると、軽くキスをしてから下着を身につけた。
「ありがとう。優しいね」
俺は彼女の顔をまともに見ることができなかった。
「ねえ」
「ん?」
「もう少しここにいていい?」
「いいよ。シャワー浴びる?」
「いい。うちに帰って浴びるから」
「そうか。そうだね。少し寝たら?」
俺はロフトに上がり、毛布と枕を持って下りた。
彼女をソファに寝かせ毛布をかけると、俺はその横に座った。
「コウタさん」
「うん?」
「軽蔑する?」
「しないよ。ただ・・・」
「ただ?」
「なんつーか、もっと早く知り合いになりたかったな」
「そう思ってくれる?」
「うん、結婚決まる前だったら良かった」
彼女はいつの間にか寝息を立てていた。
カーテンの隙間から見える空は明るくなりかけていた。
一応、これでおしまいにします。