私はガラガラに空いた特急電車に乗り込むと、バッグを網棚に乗せて窓側の席に座った。
車内はクーラーがきいていて、生脚にミニスカートでは少し寒い。
私はサテンのキャミソールの上に重ねたボレロをきちんと羽織りなおす。
朝が早かったせいか、背もたれに体を預けるとすぐにうとうとしてきた。
ガタンガタン、という規則正しい揺れが心地よい。
ほとんど乗客のいない電車の中、私は目を閉じ、睡魔に身をゆだねる。
どのくらい経ったのか、私は太股に感じた違和感で目を覚ました。
「うわ…すっごいですよ、すべすべでたまんね…」
「こんなエロい脚さらして眠ってるんだもんな、触られても仕方ないって」
聴覚をくすぐる囁き声に、私はゆっくりと薄く目を開ける。
そして目の前の光景をとらえた瞬間、私の背筋を寒気が走り抜けた。
大学生風の若い男二人が私の隣と正面の席に座って、私の太股をいやらしい手つきでなでまわしていたのだ。
(嘘…っ!)
咄嗟に現実を拒否するように、きつく目を閉じる。
が、太股を好き勝手に這いまわる二つの手の感触は、それが夢ではないことをしらしめてくる。
(嘘、嘘…やだ…っ…どうしよう…)
体が強張って動かなかった。
二人は私が完全に寝ていると思っているようで――抵抗するタイミングが、掴めない。
「あの、もっと触りたくなってきちゃったんすけど…おっぱい揉んでもいいですか…?」
黒髪の方はもう一人の男の機嫌をうがかうように訊いた。
男たちにも微妙な上下関係があるらしく、私の正面にいる茶髪でホスト系の方は呆れたように応える。
「お前相変わらずおっぱい好きだなあ。いいんじゃね?よく寝てるみたいだしさあ、起きない起きない」
(そんな…っ!)
私はそっと薄く目を開けて男たちの様子を窺う。
茶髪の方は相変わらず私の太股を撫でさすっているが、隣のがっしりした黒髪の方は、息を荒げながら私の胸に手を伸ばしてきた。
(いや…っ!)
黒髪の男は体育会系のようなガサツそうな外見に似合わず、そっと優しく胸に触れてくる。
下から乳房を五本の指でくすぐるようにされ、ぞくっと体が震えた。
飽くまでも優しくゆっくりと、乳房を持ち上げるようにしながら全体を揉みしだいてくる。
(ん…あぁ…っ)
恐怖と嫌悪感に混じって、腰の奥から甘い痺れが沸き上がってくる。
茶髪の方も太股を撫でるだけではなく、指一本だけをつうっと這わせたり膝のあたりを優しくくすぐったりと、遊びなれているのか妙に…触り方が、いやらしい。
そういえば最近忙しくて、彼氏とも全然会えていなかった。
敏感な内股を、乳房を、男たちの指がゆるゆると這いまわり、渇いたからだに水が染み込むように、ぞくぞくと全身に快感が広がっていく。
(ん…はぁ…は…あ、ん…っ)
「…すっげー柔らかいですよ…。ブラ、外したいなあ…生で揉みたい…」
「外せばいいじゃん。どうせ寝てるって」
「マジですか?さすがにヤバくないすか?」
「平気平気、他に客もいないしさ。見てろよ…」
(きゃ…っ!?)
茶髪の声と共にぐっと一気に太股が押し上げられたかと思うと、私はM字開脚の体勢にさせられてしまった。
今日は確かアイスブルーの紐パンだっただろうか。
目を閉じていても、二人の視線が恥ずかしいところに集中しているのが分かる。
その食い入るような目を想像するだけで、全身がかあっと熱くなった。
「紐パンなんかはいてるぜ、こいつ…」
茶髪の指が下着越しにゆっくりと繁みのあたりをなぞり、私はびくっと体がはねそうになるのを必死で堪える。
なんて、なんていやらしい指の動きなのだろう。
恥丘を円を描くようにゆっくりと撫でられ、私は腰がくねりそうになるのを必死で堪える。
「ほら、こんなことしても起きないんたぜ?ブラぐらい大丈夫だって」
茶髪があそこの周辺をつんつんとつつきながら、笑いを含んだような声で言った。
黒髪の方はそれには返事をせず、にっと笑って私の背中のホックをぷちっと外すことでそれに応える。
ブラはすぐにずりあがり、男の大きな手が胸を包み込んだ。
(ぁ、ん…っ)
手のひらがさわさわと乳房の形をなぞり、
サテンのすべすべした滑らかな生地越しに乳首が微妙に刺激される。
(や…乳首、だめ…っ!)
その間にも茶髪の手は内股の弱いところを撫でさすってくる。
黒髪が胸をさわさわするたびに人指し指から小指までが順々に乳首を刺激して、その度に甘い快感の電流がぴりっと体を走った。
男は指先で軽く乳首をひっかくようにしてくる。
器用に動く指に、息が荒くなるのがもう押さえられない。
私はきゅっと眉をよせて必死に声を殺す。
体が熱い。男につままれた乳首が、触れられそうで触れられないあそこが、とろけそうに熱い――。
「おーおー、エロい顔しちゃって…彼氏とやってる夢でも見てるのかね?」
茶髪の方がにやにやと笑いながら、あそこの割れ目を下から上にすうっとなぞった。
途端にびくっと体がはねる。
茶髪は反応を楽しむようにしながら、割れ目を指一本で何度もなぞってくる。
体がぞくぞくと震え、もう少し強い刺激を与えられれば今にも喘ぎ声が漏れてしまいそうだ。
黒髪の男は執拗に乳首をつまんですりすりと擦ったりゆっくりと揉んだりしてきて、上から下から同時に与えられる快感に、私はもうおかしくなりそうだった。
ふいに、茶髪の男の指が止まる。
もどかしい…もっと、もっと気持ちいいところに触れてほしい…。
欲望に流されるままうっすらと目を開けて茶髪の方を見ると――
目が、合った。
反射的に目を閉じてももう遅い。
あいつは私が起きていることに気付いている――。
茶髪はふっ、と鼻で笑うと、突然指で下着越しにクリトリスを押し上げた。
「んぁ…っ!」
突然襲ってきた強烈な快感に、私は思わず高く喘ぎ声をあげていた。
男たちは顔を見合わせて低く忍び笑いをした。
「可愛い声出すなあ。よく寝 て る の に なあ?」
「そうっすね、寝 て る の に」
「これじゃあ俺らが何しても、絶 対 に 起 き な い よなあ」
それは遠回しな契約の言葉だった。
――お前はもっと気持ちよくなりたくて寝たふりしてたんだろう――
――じゃあ、気持ちよくしてやるから俺らのこと黙ってろよな――
男たちの意図に気付き、私の体は震えた。これから起こることへの恐怖と、それから期待に。
茶髪の両手の指が紐パンの紐にかかり、するりと紐が解けたかと思うと、前の布が落ちてあそこが露わになった。
「すっげ、見ろよ。もうとろとろのぐちゃぐちゃだぜ」
茶髪の細い指がぬるぬるをクリトリスに塗りつけるようにする。
「あ、ぁん…っ!」
「乳首もさっきからビンビンに尖ってますよ。こんな淫乱女見たことねー…」
気付けばキャミもたくし上げられていて、黒髪の舌が敏感に尖った乳首のまわりをなぞる。
「ふ…あ、あぁ…っ!」
二人に同時に愛撫されるなんて生まれて初めてで――気が狂いそうな快感が次々と背筋を駆け抜ける。
もう、ここが電車の中だなんて考えられなかった。
ガタン、ガタンと揺れる電車の音、男たちのはぁはぁという荒い息、
私の恥ずかしいところから響くくちゅっくちゅっという粘着質な音、そして、私の止まらない喘ぎ声。
「ん…はぁ、いやっ、あ…あん…ッ!」
茶髪の指はクリトリスを優しく、時に激しくリズミカルにこすりあげてくる。
太股がひくついて腰が揺れる。黒髪が乳首をちゅぱちゅぱと吸い上げ、また私の声が一際高くなる。
「あ…ああっあん…やあぁ…ッ!」
黒髪がちろちろと乳首の先を舐めながら、
「ああ…やべー…我慢できなくなってきたかも…」
ぼそりと小さな声で呟いた。
次の瞬間黒髪はジッパーを下げ、ギンギンに勃起したものを掴み出すと、私の手にぎゅっと握らせた。
黒髪は私の手に自分の手を重ね、その太く硬いものを扱きだす。
まるで熱い鉄の棒を扱いているような感触に、頭がくらくらした。
「あああ…マジやべー…。あの、すんません…俺もう挿れたいんすけど…」
「は?俺より先に?駄目に決まってるだろ」
「じゃあ、せめて俺にもそっちの方触らせてくださいよ…」
「仕方ねーなあ」
男たちはそう言って互いの位置を入れ替えた。
絶え間ない快感が途切れてほっと息を吐いたのもつかの間、黒髪の男は獣のような勢いであそこにむしゃぶりついてきた。
「やあ、はぁん…ッ!」
ハアハアと荒い息があそこに当たる。
舌が素早く動いてクリトリスを舐め上げる。
「ふぁ…ああぁ…ッ!」
そして、骨張った太い指があそこに当てられたかと思うと、ぬるぬるとゆっくり中に挿しこまれた。
私のあそこはそれを待ち望んでいたかのようにきゅうっと締め付けて離さない。
指がゆっくりと曲げられると、それは私の一番敏感な部分を直撃する。
「や、ああぁ…だめ…っあぁ…ッ!!」
黒髪はゆっくりともう一本指を沿わせて挿入すると、一番弱い部分を押しこするようにしながら中で指を動かしてくる。
クリトリスを激しく舐め上げる舌も少しも動きを弱めず、指でぐいぐいと弱いところを刺激され、
狂おしいほどの快感に翻弄されながら勝手に背中が反っていく。腰のくねりが止まらない。
「はあん…っあ、ああ…だめ…ッもう…あっ、ああぁ――ッ!!!」
脊髄を痺れるような快感が走り抜け――私は、達した。
波のように襲ってくる快感と共に腰が何度もびくびくと痙攣し――そして、私は一気に脱力した。
「ぁ…はぁ…っ…はぁ…っ」
二人の男はにやにやと笑いながら、ぐったりして浅い息をする私の姿を見つめている。
「あーあ、いっちゃったなあ、こいつ」
「電車の中で知らない男に指マンされていっちゃうなんて、信じられない淫乱っすねえ」
「そうだな。でも…」
茶髪の男がふいに私の乳首をきゅっとつまんだ。
「あぁん…ッ!」
いったばかりで全身敏感になっているところに強い刺激をくわえられて、私は反射的に甘い声を漏らしてしまう。
「…まだまだ足んない、みたいだなあ?」
茶髪の男の色素の薄い瞳が、きらりと妖しく輝いた。
「ほら、代われよ。こいつに太いのぶちこんでやるから」
「早めに済ませてもらえるとありがたいっす…俺もそろそろヤバいんで」
茶髪の男はまたさっきのように私の正面に回ると、ジッパーを下ろして屹立したそれを掴み出した。
顔立ちは中性的といっていいような印象なのに、それは対照的に生々しく血管が浮いてカリが高く張っている。
その対比のいやらしさに、私の背筋をぞくぞくと震えが走った。
茶髪は私の足首を両手でぐっと掴むと、一気に大きく開かせる。
茶髪のモノの張りつめた先端が、私のクリトリスにぐっと押し当てられる。
「あ…やん…っ!」
茶髪は軽く腰を動かして、モノの先でクリトリスをくにくにと嬲ってくる。
「はあぁ…っ!」
粘膜と粘膜がこすりあわされる刺激に、私はそれだけでまた達してしまいそうだった。
…欲しい。中に、熱い塊が、欲しくてたまらない――。
「や…あ…あぁ……っ」
ぬちゃり、と先端が濡れそぼった入り口にあてがわれ、
ずぶ、ずぶ…とじらすようにゆっくりと挿入されていく。
十分すぎるほど潤っているそこは、襞を肉棒にひくひくと絡みつかせながらそれを受け入れる。
もっと、奥…もっと…とばかりに、私は喘ぎながら腰をゆらめかせる。
私に理性はほとんど残っていなかった。この異常な状況に、痺れるような興奮を味わっていた。
「あ、んん…っ!」
ついに最奥までいっぱいに挿入され、私は嬌声をあげた。
「あー…すげ、まんこぬるぬるで…やばい…締まる…っ」
その声と同時に、男は思いきり腰を突き上げた。
「あ、ああぁ…ッ!」
激しい突き上げが繰り返される。何度も、何度も、深く、深く。
高く張ったカリが中の一番いいところを何度もこすり、粘膜から気が遠くなるような快感が沸き上がる。
気持ちがいい。何も考えられない。
頭が真っ白になるのを感じながら、私は首を打ち振り腰を淫らに動かす。
「あ、あんっ、あっあっあっ…ああぁ…ッ!!」
「いいっすねえ、気持ちよさそうで」
黒髪の男が羨ましそうに呟くのが聞こえた。
でも私はそんなことに構っていられない。ただ声をあげ腰を振って茶髪の男の動きに応えることしかできない。
「ああ…もう最っ高…たまんねーよ…っ」
体を内側から揺さぶるような突き上げを繰り返したまま、茶髪の男はうわごとのように呟く。
「早く俺にもやらしてくださいねー」
「分かったって…お前いいもの持ってたろ…あれ、使ってやれよ…っ」
「あ、そういえばそうでしたっけ…忘れてました」
声は聞こえているのに、夢の中の言葉のように意味が伝わってこない。
――いいもの…使ってやる…?
瞬間、乳首に電流が流れるような快感が走った。
「あ、あんっ…やああぁ…ッ!!?」
視線をやれば、黒髪の男が乳首にローターを押し当てている。
「ふあ…あっあ…あっ、あ…やぁ、――ッ!!」
深い突き上げと相まって、声も出せないような衝撃だった。
一気に体が燃え焼けるように熱くなり、私の腰がぐうっと持ち上がって痙攣した。
突き上げられる。またびくびくっと体が痙攣する。いってもいっても止まらなかった。
「――ぁ――ああぁ――ッ!!」
また奥まで突き上げられ、そのたび私の体はびくびく痙攣する。
うねるような快感に身を任せ、私は体の中に熱い飛沫が放たれるのを感じながら意識を手放した。
「ひあ……ッ!!」
すぐに意識を取り戻したのは、クリトリスにローターが押し当てられたからだ。
「あっあっあ…ッ!」
おかしくなりそうなほど何度も達したというのに、私の体はまた貪欲に快楽を貪っている。
薄く目を開けると今度は黒髪の方が私の正面に来ていた。
片手でローターを使い、片手で極太のアレをしごきあげている。
それはいっぱいに膨張しきっているようで、先端にはすでに先走りが光っていた。
「じゃ、次は俺の番ってことで…っ」
ぐちゅっとそれがあそこに押しあてられ、今度は一気に奥まで突きあげられる。
「ああ…あああぁん…ッ!!」
さっきのモノとは太さが段違いだ。
無理矢理押し広げられるような感覚も、今は快楽にしかならない。
クリトリスから響く強い振動とシンクロするように激しい律動が繰り返される。
「あっんっあ…あああ…っ!」
茶髪の男が乳首をつまんできた。
三点を同時に攻められて、私はびくっとしてまた達してしまう。
中が収縮するとモノの硬い感触を一層生々しく感じて、また快感が増幅して、また中が収縮して――。
「はあ…ああぁ、あああん…ッ!」
ふいに、強い尿意のような感覚が襲ってきた。全身にさっと汗をかき、いけない、と思ったときにはもう遅い。
「あ、あ、は…ああぁ…ッ!」
じゅわっとあそこに熱が広がったかと思うと、勢いよく熱い液体が吹き出てくる。
その間も男は動きをとめず、ぐちゅっずちゅっと奥まで突き上げてくる。
「あ…あっ…あっあっあ、やああぁ――ッ!!」
内蔵が溶けくずれていくような感覚に襲われ、私はまた深く深く達した。
そんな事が何度繰り返されたのだろう。
私が最後に意識を失い、目を覚ましたときにはもう終点近くだった。
きちんと服も直されており、窓も全開にされて換気されている。
座席の汚れもきちんと拭かれていて、さっきこの場であんなことが起こっていたとは誰にも分からないだろう。
しかし、私の腰のあたりにはまだ強烈な快感の余韻がたゆたっている。
時間を確かめたくて、スカートのポケットから携帯を取りだした。
ディスプレイには新着メール一件の表示。
受信メールを開くと――
さっきはどうも
潮まで吹いちゃって最高にエロかったよ
可愛いとこちゃーんと写メとったいたから、俺がメールしたらちゃんと返してね
――背筋が寒くなった。
ああ、それなのに――この、子宮から沸き上がる期待感は一体何なのだろう。
私はふらつく脚に力を入れて立ちあがる。
もうすぐ、終点だ。