高校2年の修学旅行。
ホテルは安物だったけど全員ツインルームだったもんで、彼女がいるヤツは同室のヤツに飯おごって出てってもらったりしてた。
僕はと言えば飯おごってもらうほうだったんで、毎晩野郎ばかり集まって朝まで飲んで騒いでた。
2日目の夜、男4人で飲んでたら隣の部屋から喘ぎ声が。
安物のホテルなんで結構良く聞こえる。
隣の部屋は男前で、女好きのヤマダと、もう一人はブ男の部屋だったもんで・・・。
(コレは絶対ヤマダがヤッてるに違いない。)
ヤマダは悪い奴じゃないんだけど、自分が女にモテるってことをしっかり自覚した行動を露骨に取るもんで、僕はあんまり好きじゃなかった。
しかもヤマダはバスケ部の一年生のマネージャーと付き合ってるはず。
コレは面白いってことで男4人で聞き耳を立ててた。
ヤマダの「気持ちいいよぉ」って声にみんなで爆笑したりしてたんだが、女の子の方は「あっ」とか「イヤッ」とか言うだけであんまり良く聞こえなくて、誰なのかは全然判らなかった。
30分くらいで終わっちゃたんだけど、当時AVもロクに見たことなくてもちろん童貞だった僕は初めてこういうの聞いたもんで、えらく興奮して「シャワー浴びる」とか言って3回もオナニーしてしまった。
次の日の夜は僕と、昨夜のことを聞いてたワタナベ、そしてヤマダを含む男6人で飲んでた。
2時間くらい経った頃、ワタナベがヤマダの前で昨夜のことを話し始めた。
ヤマダは最初は否定してたけど、「一年の彼女にバラすぞ」って言ったらヤッてたことはあっさり認めた。
でも相手が誰だったかはなかなか口を割らなかったんだけど、一人がヤマダの彼女に電話しようとしたところでついに白状した。
ヤマダは「里美とやった」と白状した。
里美は僕と同じクラスだったかなりカワイイ子で、何よりも僕が片思いしてた子だった!
僕と里美は仲は良かったけど、里美は僕のことを恋愛対象とは見てなかったみたいで、一年の終わりに告白したときはすごくビックリされちゃって「好きな人がいるから」って言われて振られた。
でもその後も普通に友達として仲は良かったし、僕はまだ里美のことが好きだった。
ヤマダが里美としてたと白状して、みんな結構ビックリしてたけど、僕はビックリなんてもんじゃなかった。
僕が里美を好きだってことを知ってる奴はその場にはいなかったもんで、僕は必死で平静を装ってその場から逃げようとしたんだけど、なんだかショックで体が動かないほどで結局逃げられなかった。
その後、ヤマダはどんどん調子に乗って色々と喋りだして、僕は聞きたくないと思いながらも全部聞いてしまった。
一日目の夜も一緒にいたこと、その日の夜はヤマダが里美にフェラしてもらったこと、それは何故かって言うと里美は処女だったもんで一日目はうまくいかなかったこと。
つまり僕が聞いた2日目の夜は里美の初体験だったってこと、里美はヤマダに彼女がいるのはもちろん知ってたけどそれでも山田としたこと・・・。
結局、僕はヤマダの話を全部聞いてしまった。
あの女好きのヤマダと里美がSEXしてたっていうショック。
しかも里美は初めてだったってことに対する嫉妬。
それを隣の部屋で聞いてて、しかもそれを思い出しながらオナニーまでしてしまった自分に対する嫌悪感。
それに飲みすぎたビールのせいもあって、僕はものすごく気持ち悪くなって、やっとのことでその部屋から逃げ出してホテルの外に出て、今までこんなに吐いたことないってくらい吐きまくった。
その夜は寝れなくて、修学旅行最後の日は最悪だった。
その日はクラスごとにバスで移動して観光だったんだけど僕は体調が最悪だったし、何より里美を見ることすらできないような状況で、一日中バスの中にいた。
そしたらみんなが帰ってきたときに里美が心配してお茶買ってきてくれて、でも僕は里美の顔も見れないし話もできないし、とにかく最悪だった。
もう死にたい気分だった。
その後、一ヶ月くらいすごい凹んでて、里美とは全く話もしなくなった。
学校行くのがつらくて、引き篭もり寸前だった。
結局ヤマダは一年生の彼女と別れて里美と付き合いだしたけど、半年くらいで別れたみたいだった。
3年になると僕は理系クラス、里美は文系クラスで、ほとんど会うこともなくなったし、たまに会っても挨拶するくらいだった。
その後、僕は関西、里美は東京の大学へ。
3年の夏休みに、卒業以来久しぶりに里美に会ったよ。
高校の頃はカワイイ子だったけど21才になって綺麗になってた。
高校の頃の話とかして「あの頃は楽しかったねー」なんて。
僕は大学入って一人付き合った娘が居たけど、半年くらいで振られちゃったし、里美も今は2年近く付き合ってた彼氏と春に別れたって言ってた。
半日以上2人でドライブしてた。
「ヨコヤマ君も高校の時よりずっとイイ男になったねー」なんて言ってくれたけど、そこからそれ以上の関係にもってくことはやっぱできなかった。
相変わらずヘタレだよ、僕。
完