中学時代、休み時間に友達何人かとタイムマシン談義をしたことがある。
と言っても底辺バカの集団だから、時間軸がどうとか小難しい話はパス。
せいぜい「マジでタイムマシンがあったら何する?」とか、そのレベルな。
出てくる発想も、期末テスト前に戻って過去の自分に出た問題を全部教えるとか、どっかの映画みたいに、結果を知ってる競馬や競輪で儲けるとか、そんなのばかり。
罪のない話で盛り上がるうち、漫画や小説でよく出てくる設定の話題になった。
「過去に戻って親とか先祖を殺したら、俺の存在って消えるんかな?」
「んなわけねーだろ?だったら誰が過去に戻って先祖を殺すんだよw」
ここで、「パラレルワールドってのがあってだな」と知ったかぶる奴が出てきたが、そいつ自身、実は何も分かってなかったりする。
まあ俺も分かってないけど。
それにしても、SF系で知ったかをかます奴って、なんでバカが多いんかな。
一番ウケたのが、超絶イケメン&超絶バカの木村の発想だった。
「俺なら15年くらい前に戻ってカーチャンに中出しするな」
つまり自分の誕生日から逆算して“仕込み”の日を割り出し(できるんか?)、それに合わせて自分の種を母親に注入するんだそうだ。
「自分で自分のトーチャンになるんだぜ。これってすごくね?」
木村は最近、母親の新婚当時の写真を見たんだと。
で、今の母親はキツいけど、初々しい若奥さんの頃なら、「全然余裕でイケるじゃん」と思ったんだそうだ。
まあ確かに木村のカーチャンはちょっとした美人。
正直、俺なら今でもイケる。
それに木村は名うての人妻キラー。
20代の奥さんは最も得意とする標的でもある。
仮に奴が本当にタイムマシンで15年前に戻って若き日の母親を口説いたとして、落としてセックスまで持ち込める可能性は結構高いかもと思った。
もちろん母親の方が、自分を口説いてる男の正体を知らなければだけどな。
いや、いくら正体を知らなくても、近親者だと本能的に拒否するか。
でも木村のカーチャン、息子を溺愛してるしな。
実際のところ、どうなんだろ?
とまあ、考えても意味ないことを考え始め、深みにハマるのがバカの特徴だったりする。
「なあカーチャン、俺の子供って産んでみる気ある?」
「はぁ?バカな子供はあんた1人で十分だよ!」
家に帰って聞いてみたら、カーチャンはつれない返事。
うーん、これが現実か。
しかし、バカって・・・確かに成績は悪いけどさ。
親父は一応いい大学を出てるし、遺伝子の半分くらいは優秀なはず。
まだ表に現れてないだけかもしれないじゃん。
・・・と思いながら、ふと考えた。
俺がタイムスリップしてカーチャンを孕ませて俺が生まれたとしたら、子供・・・つまり俺に親父の遺伝子は伝わらないんだよな。
てことは、俺って100%“カーチャンのコピー”になるんか?
いや、100%コピーなら女になるはずだろ。
一卵性双生児って性別同じだし。
でも、女だったらそもそも孕ませることできないよなー。
男って決めるのはY遺伝子だっけ?
Y遺伝子が俺→カーチャン→俺→カーチャンとぐるぐる回るわけで・・・そのY遺伝子はどっから来るんだろ?
うーん、分からん・・・。
ここで脳味噌が許容量の限界を迎えた。
限界来るの早すぎw
「やっぱりさ、実の子供の子供を妊娠するって無理なん?」
「まだそんなこと言ってんの?そんならお父さんに頼んで許可をもらいな」
「親父?あの嫉妬深い親父がOKするわけねーじゃん」
「あはは、だったら諦めるんだねーw」
くそー、頭からバカにされてる。
なんで女って中年になるとこうなんだろ?
更年期か?
うちのカーチャン、一応まだ30代だから更年期には早いだろ。
「だったらさ、15年くらい前、カーチャンが若い頃でも無理?」
「あんたの遺伝子をもらってもねー。もうちょっと勉強して成績を上げな」
「何だよそれー」
いちいちムカつくババアだよな。
俺の頭が悪いのって、半分はカーチャンのせいだろ。
それに今さら勉強して成績上げたって、遺伝子には関係ねーだろ?
関係あるんか?
腹が立ったんで、いつもより激しくピストンして、トリプルでイカせてからカーチャンの中にたっぷり出してやった。
終わってからグーで殴られた。
やっぱり理不尽だ・・・。