医者に余命半年と宣告された28歳独身の男です。
病名は…まぁよくある奴なんで皆さんのご想像にお任せします…
正直、最初にこのことを医者から伝えられた時は冗談か何かかと思いました。
だってそれまで自分は健康そのもので、風邪だって数年に一度引くか引かないかってぐらい丈夫な体だったんですよ?
にわかには信じられませんでしたが、黙々と今後のことを喋る医者の話を聞いているうちに
「あぁ、俺はもう死ぬのか」とじわじわ実感が湧いてくるのでした…
その次の日にはもう勤めていた会社を辞めていました。
辞める、とは言っても実際そんなすぐには辞められるわけがないのですが、会社に「辞めます」と電話してその後は着信拒否。
要するにバックレたんです。
余命があと半年しかないのに働いてなんていられませんでしたからね。
で、仕事を辞めて時間もできた俺が何をしたかというと…
何もしませんでした。
これといってやりたいことがなかったんです。
思えばこれまでずっと仕事ばかりしてきた自分。
忙しさに追われ、趣味も恋愛も完全に放棄していました。
そんな人間に突然暇が訪れたところで時間を上手く使えるわけもなく…
俺はしばらくの間、ただ食って寝るだけの生活を繰り返していました。
余命宣告されてから一ヶ月が経った頃。
さすがにこのままではまずいと思った俺は、せめて死ぬ前にできるだけ多くの名作映画にでも触れておこうと思い、レンタルビデオ店に通い詰めるようになりました。
恋愛映画からホラー映画まで、とにかく片っ端からレンタルして家で一人黙々と視聴。
映画を見ているときだけは自分の余命のことも忘れられるんです…
それとレンタルビデオ店をきっかけに、もう一つハマったことがありました。
それは…アダルトビデオです。
これまで自慰のオカズなんてネットで適当に拾った奴で済ませていたのですが、ビデオ店で試しに借りてみたAVがめちゃくちゃエロくておまけに高画質で、気付いたら映画と一緒にAVを借りるのが日課になっていました。
ある日の深夜、自宅アパートでいつものようにAVを大音量で視聴しながら自慰していると、玄関のチャイムが鳴ったんです。
自慰を中断されイラつきながら玄関のドアを開けると、そこには隣人のお姉さんがこれまたイラついた様子で立っていました。
お姉さんの年齢は20代後半ぐらい。たぶん自分と同年代です。
朝はいつもキチッとしたスーツを着て出て行くので恐らく会社員でしょう。
ちなみに俺とは外で顔を合わせると軽く会釈するぐらいの仲で、これまでまともに会話したこともありませんでした。
「ちょっと!毎晩毎晩テレビの音量が大きすぎるんですけど!」
「はぁ、そりゃすみませんでした」
「あと余計なお世話かもしれませんけどね、そういうのばかり観てると女性に嫌われますよ。…ったくこれだから男は(ボソッ)」
これにカチンときた俺。
「あのねぇ!こっちはもう病気で余命数ヶ月なんですよ!いいじゃないですかAVぐらい!」
「えっ…」
「なんなら死ぬ前に一発、お姉さんが相手してくれますか?」
「……」
我ながら最低だとは思いましたが、お姉さんを追い返してさっさと自慰に戻りたい気持ちもあり、ついヤケクソ気味に言ってしまいました。
しかし…ここでお姉さんは、思いもよらない反応を示してきたんです。
「その話…本当なんですか?」
「…? えぇ、まぁ…医者からはそう言われてますけど…」
「………」
「…どうしました?」
「……私でよかったら…相手しますけど?」
これを聞いてしばらくフリーズする俺。
お姉さんはその間も真剣な表情で俺を見つめていました。
完全にマジの目です。
「ほ、ほんとにいいの…? あとで通報とかしない…?」
「…しません」
その確認を最後に、俺はお姉さんを自分の部屋へと招き入れました。
部屋に入ってすぐ、俺はお姉さんの身体に貪りつきました。
お姉さんは特に抵抗することもなくそれを受け入れます。
そして体中を散々いじくり回したあと、俺はお姉さんの服を全て脱がせました。
それからいざ生で挿入…しようとしたら止められました。
「これから死ぬ人間の子は孕みたくない」とのこと。そりゃそうだ。
ましてやつい先程まで赤の他人だったわけだし…
幸いなことに部屋には自慰用に保管していたコンドームがあったので、それを付けることを条件に挿入は許可されました。
ゴムを付け、ズブズブとお姉さんのアソコに挿入する俺。
何気に童貞卒業の瞬間だったりします…
それからはもう猿のように腰を振り、挿入から数分も経たないうちに射精してしまいました。
なんでしょうね…初体験ってことももちろんありますが、死期を間近に控えて生殖本能でも刺激されたのでしょうか…
いまだかつてない量の精子が出た気がしました。
それからお姉さんはシャワーを浴びて綺麗になったあと、素っ気ない態度で俺の部屋から出て行ったのでした。
お姉さんとの関係はこの一夜限りで終了…かと思いきや、彼女はその後も定期的に俺の部屋を訪れては、性交も含めて何かと俺の世話をしてくれるようになったんです。
客観的に見るともう完全に彼氏彼女の関係でした。
一度、正式に自分と付き合ってくれないかと頼んでみたのですが、「死んだとき辛いから」を理由に断られてしまい、結局よくわからないままの関係が続きました。
そして現在…
医者から余命半年を宣告されてから1年が経ちました。
あれから何度か入退院を繰り返していますが、奇跡的に今もなんとか生きています。
もちろん、もういつ死んでもおかしくないわけですが…
ちなみにお姉さんは相変わらず俺の部屋を訪れてくれて、「なかなかしぶといわね…」などと小言を言いつつも
俺に料理を作ってくれたり、ときには下の世話までしてくれるんです。
同情心だけでここまでしてくれるお姉さんには本当に頭が上がりません。
俺が死んだら、お姉さんには自分の分まで幸せになってほしいとただただ願うばかりです…