俺の住むマンモス団地地域には、野球場からテニスコートといったスポーツ施設や桜林・松林のあるちょっとした公園がある。
駅周辺の比較的栄えた地域と奥にある住宅地域を分断する形の公園で、地理柄ちょくちょく痴漢や事件の噂があって、夜に人が近づくことはまずない。
22時も過ぎると全く人が通らない。
前述の噂もあり、俺自身もあまりこの公園には近づかなかったんだが、ある日、酒を飲んで気が大きくなって散歩している最中にこの公園に立ち入り、案外明るいこと、自動販売機の類がないのでたむろしてる奴らもいないことが気に入って、日頃好んで外に出ることのない俺の気分転換の日課になった。
東西はマンモス団地、北は野球場とテニスコート、南は桜と松林と四方を囲まれているため、中心の公園には全く人が近づかない。
時々酔っぱらいが通過する程度。
稀にへべれけの女子が通過することもあったが触らぬ神に祟りなし。
ある日、ちょっと酒が入ってムラムラきていた。
とはいえ公衆便所でオナニーも芸がない。
日頃から露出欲のあった俺は、ベンチに座り、ケータイを弄りながらチャックを下ろし、モノを外に出した。
外気が気持ちいい。
実はこういったことは初めてではない。
だから、この程度で満たされないのはわかっていた。
どうせ誰も通らないのだ。
満たされることはないので、だいたい1時間くらいスリルを味わってから、公衆便所に行って一発抜いて満足して家に帰る。
(今日は、このままベンチで抜いてみるか・・・)
悪戯心が疼く。
ギンギンになった息子をゆっくりと扱く。
今までもこうだ。
ある日突然、露出し始めたわけじゃない。
徐々にエスカレートしてここまで来たのだ。
最初は外には出さずにパンツをベトベトにした。
次は公衆便所で抜いて、その後、露出するようになった。
誰に迷惑かけるわけでもないし、罪の意識もドキドキも、そんなに感じていなかった。
だが、その日は違った。
不意に広場の入り口に感じる人の気配。
血の気が引く。
今さらゴソゴソと仕舞っても怪しいだけ。
股を閉じ、携帯を見ているふりをする。
右前、距離は15mくらいをふらふらと通過する白い陰。
ワンピースを着た女性のようだ。
ちらっと見ると、向こうもこちらを見ていたようだ。
目が合いそうになると、ふっと目を逸らす。
(バレたか・・・)
視線を下ろすと、やはりこちらを見ているようだ。
歩みを止めることはないが、確実に俺のモノを見ている。
初めて感じる背筋を走るゾクゾク感。
(ヤバい。見られてる)
一度萎えかけた息子が再度起き上がる。
無理して携帯に意識を集中する。
表示されているのはホーム画面だ。
ホーム画面を左右に振る。
何の意味もない。
彼女は少し歩みを速めたようだ。
確実に気がつかれた。
(通報される前に帰ろう)
しかし意志に反し、闇に消えた彼女の去った方向に向かう俺。
(ダメだって。マジで通報されるって)
しかし、息子を露出したままふらふらと足が止まらない。
こめかみの辺りが鼓動に連動してギュンギュン鳴る。
白いワンピース。
風の流れない公園に微かに残る女の匂いに息子はパンパンに勃起していた。
そうこうするうちに公園の一番広い場所に出た。
ここは街灯も多く、公衆トイレもあり比較的明るい。
彼女の姿は見えない。
一目、彼女後ろ姿でも見て発射したかったが、明るさで少し我に返った。
(仕方ない、トイレで抜いて帰ろう)
しかし、一度火のついた変態心は収まらず、譲歩案として女子トイレに入ってみることにした。
我ながら酷い思いつきだ。
公衆便所独特の臭いと裸電球がぶら下がる景色に淫靡な気持ちが掻き鳴らされる。
やっぱ手前の多目的トイレに・・・と思い直すも、ちょっと覗いた女子トイレを見てぎょっとする。
男子トイレと違う、個室が並ぶ風景。
その中にひとつ、扉が閉まっている個室があるのだ。
糞尿の臭いに混じって・・・微かにさっき感じた女の匂い。
(彼女の匂いだ!)
心拍が跳ね上がり瞳孔が開くのを感じる。
これ以上行ったら止まれなくなる。
理性が訴えてくる。
それをかき消す糞尿の臭いと女の匂い。
(隣のボックスに入れば何か見えるかもしれない。そこまでにしておこう)
俺は息を殺して隣の個室に入り、そっと戸と鍵を閉めた。
隣の箱から明らかに人の存在と服が擦り合う音が聞こえる。
そのとき俺は気づいた。
ここの衝立は、壁と板の間に3センチくらい金具のスペースがある。
壁に顔を押し付け、さらに息を殺し、そっと隙間から隣を覗いてみる。
こちらに背を向けてしゃがんでいる女の姿を想像していた俺には予想外の光景があった。
なんと女は、こっち側に向く格好で反対側の角に立っていた。
髪の毛で顔はよく見えないが、服装から間違いなくさっき俺の前を通過した彼女だった。
何をしてるのかはすぐにわかった。
右手はスカートの中に、左手は左胸に当てられていた。
よく聞くと、「はっはっ」という短い吐息が聞こえている。
この風景を見ていなければ全く気にならない程度の小さい音。
最初は背を壁に預けて腰を突き出すように、時々ピクピクと腰を痙攣させる。
胸は服の上からゆっくりと撫で回す。
左胸だけを撫で回していた左手がだんだん乱暴に左右の胸を押しつぶすようになると、不意にギュッと右胸を鷲掴みにして腰を反らしてくっと顔を上げる。
苦しそうに歪んだ顔に汗で髪の毛が張り付いている。
裸電球、糞尿の臭い、苦悶の表情でオナニーに耽る女性。
俺は気が狂いそうだった。
彼女はそのままクイクイっと腰を突き出し、「ん!」と声を上げるとガクガクと震え、しゃがみ込んでしまった。
そのまま崩れ落ちると、しばらく汚い床に左手をつき、肩で息をしている。
俺も気がついたら信じられないくらいの量の精子を壁に叩き付け、反対側の衝立にもたれて、息子を握り締めたまま放心していた。
息子はまだギンギンだった。
(襲いたい)
もう迷いはなかった。
俺は立ち上がると、そっと自分のいた個室を出て、彼女の扉の前で様子を窺う。
鍵が開く音。
外を窺うように開く扉がスローモーションに見える。
扉を押し込む。
個室の奥の壁に再度押し付ける。
声も出ない彼女。
目を見開いて完全に恐怖の表情。
それを見て我に返る。
が、もう遅い。
なんて言えばいい?
「ぜ、全部、見てました。何もしません。また見せてください」
かすれる声を絞り出す。
ガクガクと震え出して絶句する彼女。
間が持たない。
何か言わないと!
「明日も来ます!」
何を言ってるんだ、俺は。
完全に怯えて俺から目を離さない彼女がゆっくりと横を通り過ぎようとする。
テンパった俺は彼女を止めることもできなかった。
彼女は俺の横をゆっくりとすり抜け、安全圏に出るとトイレの外に走り去った。
足音が遠ざかる。
(終わった。彼女はおそらく通報するだろう・・・)
俺はすっかり萎えた息子をズボンに仕舞うと自宅に帰った。
怯えながら覚悟して、その日は何もなかった。
そして1ヶ月が過ぎた。
もう警察は来ない。
そう思うと、思い出すのはあの妖艶な光景だ。
糞尿の臭い、女の匂い、股間を弄り胸を揉みしだくワンピースの女。
(警察に言わなかったってことは、彼女は翌日、トイレに来たのかも?)
勝手な想像が頭をもたげてくる。
俺は公園に散歩に行っただけだ。
あのときだって俺は何かをしたわけでもない。
その夜、俺は1ヶ月ぶりにあの公園のあのベンチで息子を露出して彼女を待った。
おかしな話だ。
約束をしたわけでもない相手を待っている。
約束が通ってたとしても、それは1ヶ月も前の話だ。
ぼーっと暗がりで携帯を弄っていると、あのときと同じ、公園の入り口に人の気配がした。
相手を刺激しないようにゆっくりと振り向いた。
ミニタイトスカートから伸びるパンストに包まれた足にはミュール。
小さめのシャツに強調された胸。
夜の公園とは明らかに不釣り合いな格好。
顔はよく覚えていないが、間違いなく彼女だ。
立ち姿がオーバーラップする。
彼女が近づいてきて、それは確信にかわった。
あのときの女の匂いだ。
彼女は立ち止まり、ゆっくりと俺の横に50センチほど距離をとって座ると、「待ってたわ」と小さな声で言った。
彼女は立ち上がり、闇に歩き始めた。
呆然とその後ろ姿を見送って我に返り、彼女の去った方向に歩き始める。
あのトイレが見えてくる。
今回は迷わず女子トイレに向かう。
多機能トイレの扉に目が止まる。
『使用中』の赤ランプが点灯している。
扉がゆっくりと自動で開く。
中にはさっきの彼女。
「また見せてくれって言ったわよね?」
かすれた声で聞く彼女。
頷く俺。
「本当に見るだけで我慢できる?手錠してもいい?だめなら帰って」
もう理性が介入する暇はなかった。
俺は二度頷いた。
「扉を締めて手を出して」
ゆっくりと扉が締まる。
彼女は俺の右手に手錠をかけると、入り口の扉に付いている手すりにチェーンを通し、反対側の手錠を左手にかけた。
俺の自由は完全に奪われた。
彼女は3メートルほど離れた洋式便器の蓋を閉めると、ゆっくりとその上に腰かけた。
ミニスカートの中の黒ストッキングにパンツが透ける。
ストッキングの縫い目にあわせてゆっくりと右手を這わせる。
そのままゆっくりと擦るように、本当にまどろっこしいくらいゆっくりと手を這わす。
左手はシャツの上から胸を撫でる。
シャツが擦れる音すらいやらしい。
そのうちシャツをスカートから引き出し、裾から手を入れて胸を弄る。
手が見えないぶん、シャツの中で蠢く左手がいやらしい。
もうどこを見ていいのかわからない。
気づくと彼女は天を仰ぎ、「はぁはぁ」と甘い声を漏れさせ始める。
右手はストッキングを少し下ろし、パンツの中に入っているようだが、そのときから足をギュッと閉じてしまい、どういう風にしているのかよくわからない。
ストッキングに包まれた両足のつま先を反らせたり、きゅっと縮めたりしているのに妙に興奮したのを覚えている。
さっきまで左右の胸を順序よく揉んでいた左手は右胸だけを押すように揉み始めた。
前回の経験から、クライマックスが近いことがわかった。
しかし俺はどうすることもできない。
腰を突き上げるとズボンに擦れて気持ちいい。
到底イクことはできないが、何もしないよりマシだ。
前後に腰を揺すって刺激を求めた。
何ともみっともない姿だが、彼女もそれに気がついたようだ。
目が合って、笑みを浮かべると手を止め、しばらく俺を見る。
情けない姿を見られていると自覚すると、ゾクゾクとした感覚が腰を走り抜けた。
だらしなく口を開けて腰を突き出す。
彼女は自慰を再開すると、今度は最後まで到達した。
前回とは違い、「あっあっ」と声を上げ、足をギュッと縮めるとブルブルと震えてイッた。
俺の下半身は限界だった。
我慢汁がパンツを濡らすのがわかる。
腰が止まらない。
なんとか快感を得ようと、ズボンに擦りつけるように腰を浮かす。
彼女がゆっくりと手を下着から抜き取り、ふやけた自分の指を見つめる。
たまらない。
便座からゆっくりと足を下ろすと、彼女がこっちに歩いてくる。
俺はたぶん、ご褒美を懇願する犬か奴隷のような目をしていたに違いない。
しかし彼女の行動は予想外だった。
「また来てね」
微笑むと、手錠の鍵を到底届かないところに放り投げた。
(個室に閉じ込められる!)
彼女が『開く』のボタンを押し、ゆっくりと扉が開く。
俺は扉の手摺に固定されていたので、一緒に鍵の方に引きずられる。
鍵に手が届いた。
閉じ込められる心配は杞憂だったようだ。
その隙に彼女はトイレから出て行ってしまった。
後ろ手に固定されているので、解錠するのにたっぷり3分はかかってしまった。
彼女を探すのは不可能だろう。
それよりも、このいきり立った息子の処理だ。
俺はさっきまで彼女が腰掛けていた便座の蓋に飛びついた。
予想通り、そこには女の匂いが残っていた。
汚いとか関係なく、俺はそこに跪き、便座の蓋に顔を埋めると、彼女の匂いを感じながら息子を絞るように乱暴に擦った。
擦ることわずか数回、俺は最高の射精を味わった。